第214章 できない、都合が悪い

電話の向こうの老人は、上機嫌に笑って言った。

「よし、じゃあ頼んだぞ、彩菜。この件はな、おまえにしかできん」

それから、少し声を落として続ける。

「うちのクソガキが言うことを聞かん。おまえが説得して連れ戻せたら、すぐに田村家と縁談を進める」

田村彩菜は眉目に喜びを滲ませながらも、声色だけは慎ましく整えた。

「やってみます。……でも、必ずうまくいくとは限りません」

小泉爺さんも、無理に「絶対にやれ」とは言わなかった。

自分の孫は、誰よりも我が強い。本人が一番わかっている。

――だが、万が一うまくいったら?

彩菜ほど出来のいい娘なら、男なら嫌いになるはずがない。

そう思うと、...

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